トネリコ

よどんだ時の流れに 黒い風を吹かして
歩道つまずきそうな オイラの影をはがした

のばした指の先に うすみどり色した花を見つけ
色ずく声を聞いた

あわい影を落とした 街のずるさの中で
渦の外へ咲くのか 傷を負ってながらも

容赦なくうねってゆく渦の中
花はもう枯れそうだ 花はもう枯れそうだ

けれど
秘密をもたぬ正直者にはなれない
あきらめてる車輪に 踏まれながら

夜明けまで 咲いてた
トネリコの小さな花さ

そして花はいつか 別の空を探して
孤独の歌をぶらさげ 斜面を滑り落ちてく

傲慢で無知で勝手で 小さかった
花はもうここにない 花はもうここにない

けれど
追憶の雨 街を洗い流してく
あきらめてるわだちに 色を残して

夜明けまで 咲いてた
トネリコの小さな花さ

けれど
秘密をもたぬ 正直者にはなれない
あきらめてる車輪に 踏まれながら

孤独と不安におびえながら咲いているなら
孤独と不安を くしゃみひとつ枯れちまおう

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